ケニアの首都ナイロビからモンバサに抜ける舗装道路をちょうど半分すぎると、
沢山のバオバブの樹が見えてきます。
サンテグジュペリの「星の王子さま」の中にでてきた、あの、今にも地面を破裂させて
しまいそうに太いものから、ヒョロリと背が高いものまで、その一本一本の形が
どれも個性的で、見てるだけで楽しい樹です。
このバオバブの樹はみな樹齢千年以上のものばかりだそうです。
アフリカを旅しているとバオバブの樹だけでなく、樹齢百年、千年単位の樹に
沢山出会います。どこまでも続く広い草原の中にポツンと一本だけある樹もそうです。
ぼくらは、よくその樹も道しるべにして草原を走りました。
そして、よくこの樹の下で休みました。
陽の沈むころ、毎日、ちがう夕日をバックに、いつも同じ枝に同じ数のハゲコウを
やどしていたアオアカシアの樹もありました。
何百年、何千年とこの大地に根を下ろした大きな樹に出会うと、この樹の下を
通り過ぎていった、人間や動物たちの数々の出来事を聞いてみたくなります。
(1974'11／婦人之友）
