バオバブだより / 本橋成一監督作品 バオバブの記憶

2008.12.21
東中野に草原を

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10数年前、羽仁進さんの動物映画の仕事で初めて東アフリカに行ったとき、
挨拶の次に憶えたスワヒリ語が"ポレポレ"でした。
"ポレポレ"とはスワヒリ語で"ゆっくりゆっくり"という意味です。

撮影用のランドクルーザーで広い草原を走りながら「ポレポレ、ポレポレ」と口ずさみ、動物たちやバオバブの樹たちを撮影したのでした。
あわただしい東京の生活から離れた東アフリカの草原の"ポレポレ"は気分よさの
テーマ音楽みたいに、僕にぴったりだったのです。
"ポレポレ坐"はそんなアフリカでの生活を想いだして、
ゆっくりいきたい"ポレポレ坐"と名付けたのでした。

ところが開店してみると、ポレポレどころではなくこのままいると
ボロボロになってしまうのではないかと思われるほどのあわただしさで
初の神経性胃炎を煩う始末なのです。
アフリカの草原での"ポレポレ"よりも、東京のビルの中での"ポレポレ"の方が
はるかに大変なのです。

ともかく"ポレポレ"(ゆっくり、ゆっくり)と考えるよりも、
このポレポレ坐のまわりをアフリカの草原みたいにする事が先なんだな。
できるといいなあと、そうしたいと思っているのです。
(1987'10 ポレポレタイムス)

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